このページは産婦人科医療に関する話題を紹介するものです。

Q1. 来月、挙式・新婚旅行を予定しているのですが
妊娠が分かりました。旅行はキャンセルしないといけませんか?


Q2. 2人目を妊娠。上の子が小さいので休日はお出かけをしたがります。
妊娠初期の日帰りレジャーの注意点を教えてください。


Q3.安定期に入ったので、一泊旅行に出かける予定です。
温泉が大好きなのですが、温泉に入っても大丈夫ですか?


Q4.妊娠6ヶ月で海外旅行を計画しています。
準備しておくことや、気を付けなければいけない事を教えてください。


Q5.産休中ですが、出産準備のための買い物などに出かけるときに
気を付けなければいけない事はありますか?


Q6.里帰り出産をするつもりです。帰省はいつごろまでにすればいいですか?
また、注意点を教えてください。


A.行き方や交通機関など、医師と細かく相談を
妊娠が正常な経過をたどっていて、合併症もない場合、旅行が悪い影響を与えるという医学的な証拠はみつかっていません。かつては、妊娠初期に飛行機に乗ると、高所で低酸素状態になって胎児に悪い影響を与えると考えられていましたが、現在の機内は酸素濃度が一定になっているので、胎児への影響を心配する必要はありません。しかし、常識的にはこの時期の旅行は、できるだけ控えた方いいでしょう。出血や褐色のおりものがある、お腹が痛む・張るといった症状がある場合は旅行をしてはいけません。いずれにしても、かかりつけの医師に相談を。医師の立場からすれば、旅行を積極的に勧めることはまずないでしょう。どうしも行きたい場合は、目的地や交通機関についてアドバイスを受けましょう。なお、旅行に出かけるときは健康保険証のコピーを持参するのを忘れないで。


A.これからの季節、アウトドアでは直射日光に注意
妊娠初期はもちろん妊娠中は、無理は禁物です。しかし、妊娠の経過が順調で医師に相談して問題がなければ、レジャーに出かけるのも良いでしょう。ただし、控えた方がよいものが少なくありません。遊園地ではジェットコースターのように体に重力がかかるアトラクションは避けて。ゴルフのように腰をねじったり、下半身に力をいれるスポーツもお勧めできません。海水浴は特に問題はありませんが、長時間海にいるのは控えましょう。これからの季節で気を付けなければいけないのは日焼け。直射日光に長く当たれば、体力を消耗するだけでなく体温の上昇により脱水症状を起こし、母体に負担がかかります。移動手段は、振動が少ない電車がベター。マイカーは気楽ですが、自分で運転するのはできるだけ避け、長時間のドライブでは、必ず1〜2時間おきに休憩をとりましょう。


A.温泉と入浴回数・時間に気を付けて楽しんで
妊娠の経過が正常な場合は、1〜2泊程度の温泉の入浴なら、母体・胎児への影響を心配する必要はないでしょう。温泉には単純泉、炭酸泉などさまざまな泉質があり、それぞれにいろいろな効能があるため、胎児への影響を懸念する人もいるようですが、1〜2泊程度であれば、気にすことはありません。衛生的には、かけ流しの温泉を選ぶといいでしょう。入浴する際には気を付けなければならないことがいくつかあります。湯温が42度以上のお風呂は血圧が上がるので避けましょう。また1回の入浴時間は10分以内にし、入浴回数は湯当たりを避けるため1日2回まで。妊娠中は転倒しやすい上、気分が悪くなったときに対処が遅れてしまうので、できるだけ一人での入浴は避けましょう。温泉にはストレスを軽減する効果があるので、以上の注意事項を守って楽しんでください。


A.事前に現地の医療情報をしっかり確認して
渡航前には必ず、出かける国の周産期医療のレベルと専門医の所在を調べておきましょう。また、渡航に際して予防接種が必要な国への旅行は避けましょう。旅先でなにかあったときのために、妊娠時の血液検査表のコピーは忘れずに持参を。また、自分の体調を現地の言葉で伝えられるように、海外旅行者向けの会話集などを利用して準備しておきましょう。現地では無理をせず、おなかに張りを感じたら、横になって休んで。また痛みや出血などの異常があれば、すぐ専門医に診てもらいましょう。妊娠中に消化器の感染症にかかると重症になりやすいので、普段以上に生ものや生水に気を付けましょう。なお海外では、わが国とは比較にならないくらい高額の医療費が請求されることがあるので、妊娠、出産、新生児医療をカバーしている海外旅行保険に加入されることをお勧めします。


A.外出は短時間で、休憩をきちんととること
医師から安静を言い渡されていない限り、体調が良ければ外出してもかまいませんが、できるだけ短くすませましょう。外出中は、1時間歩いたら、必ず休憩を取るようにしましょう。妊娠期間中、避けなければならないのは、長時間同じ姿勢でいることです。そういう意味において、途中で席を立ちにくいコンサートや観劇などは避けた方がいいでしょう。妊娠後期に入ると、おなかがずいぶん大きくなって、足元が見えず、段差や階段の上り下りもおぼつかなくなりがちです。ショッピングなどに出かける際は夫や家族に同行してもらって、エスコートと荷物持ちを頼みましょう。産み月の10ヶ月に入ったら、子宮収縮を自然に起こしやすくなるために、動き回ることを勧められることがあると思いますが、近所を散歩する程度にしておきましょう。子宮口が開きかかったら外出してはいけません。


A.帰省は35週までに、振動の少ない交通手段で
妊娠から出産まで同じ医師が担当する方が、何かあったときに対応しやすいのは事実です。一方、里帰り出産は、家族に囲まれてリラックスでき、家事をしてもらえるという長所があります。里帰り出産をする場合には、かかりつけの医師に紹介状を用意してもらい、受け入れ先の病院に、それまでの診療情報をきちんと伝えてもらいましょう。妊娠初期の段階に帰省先の病院で一度受診をしておけば理想的です。帰省は32週〜35週の間に。35週以降になると、途中で陣痛が起きたり、破水するなどのアクシデントが起きやすくなります。移動は、振動が少ない列車や飛行機を利用するのが望ましいでしょう。手荷物は少なめに、大きな荷物は先に宅配便で送っておきましょう。切迫流産・早産、胎盤異常、妊娠中毒症、多胎妊娠などのハイリスク妊娠の場合は、里帰り出産は極力避けましょう。