1. 妊娠前半期の異常
・妊娠悪阻(にんしんおそ)

つわりが悪化した状態をいいます。
つわりで起こる嘔吐は、かなり激しくても体力が消耗することはなく、胎児の発育にも問題
ありません。しかし、妊娠悪阻は嘔吐が頻発して、食事や水分の摂取ができなくなり、体重
減少や皮膚の乾燥など、栄養障害があらわれます。
つわりや妊娠悪阻は精神作用がつよく影響するので、気分転換をはかり、食事も好きなもの
を食べるようにします。
いろいろな匂いで吐き気をもよおすことも多いので、ときには調理してもらったり、外での
食事など食欲が増進するような工夫をしましょう。
おもい悪阻の場合には入院して治療をする必要があります。


・流産、切迫流産

妊娠22週未満の分娩が流産です。症状が軽度で、まだ流産していない状態を切迫流産といい
はじめの徴候は、出血や下腹痛で、出血が少量のときは、茶褐色のおりもの程度のこともあり
ます。切迫流産は安静が大切です。症状により入院して治療をうけましよう。


・胞状奇胎

胎盤のもとになる絨毛が異常に増殖して、ぶどう粒状となり、子宮の中をみたします


・子宮外妊娠

子宮膣以外のところに妊娠した場合をいいます。
下腹痛とともに少量の出血が起こり、ときには激しい下腹痛と腹膣内出血のために顔面蒼白
となり、気を失うことがあります。


・卵巣ルテインのう胞

妊娠初期に急増するホルモンの影響で正常妊娠中でも卵巣がのう胞をつくって、ときにはこぶし
大にもなることがあります。
一般に卵巣のう腫と間違われやすいものですが、のう胞は妊娠16週ごろになると縮小して、
ほとんど消失します。